Google+ 文化のるつぼ へちま: Terry Callier - Occasional Rain

2014/06/19

Terry Callier - Occasional Rain

「はじめて買ったCDは」。音楽好きの間で繰り返される「はじめまして」のような質問。特にわたしのように自分で演奏したりすることにはあまり意識が行かず、聞くことに特化してきたものにとって、確かに自分の意志ではじめて買った音楽ソフトに対する思い入れはある。恥ずかしいけれど、ある。私がはじめて買ったCDは大江千里のアルバム「Sloppy Joe」だ。
それ以前にも買ったCDはあった。時系列は定かではないが、光GENJIやチェッカーズ、工藤静香などのカセットテープや短冊CDシングルを持っていた記憶はあるし、どうでもいい話だがはじめて行ったコンサートは甲府市政100周年を記念して緑が丘球場で行われたWINKのコンサートだ。でもそのどれもが自分の意志というよりは、周りにつられてなんとなしに興味をもったものだった。だからやはり確固たる自我で買ったはじめてのCDは大江千里のベスト盤ということになる。

小学生のころ、自転車を漕いで通った朝日通りのファミリコで買った。当時のEPICアーティストの他の作品と迷いながら選んだ。佐野元春はカッコ良かったが若さに欠けた。最終的には渡辺美里と悩んだ結果、大江千里に軍配が上がった。クリティカルに今振り返れば、88〜89年頃のそれらのアーティストは佐野元春を筆頭にUKのムーブメントに傾倒し始めていたし、タイトルからしてもスタカン経由のノーザン・ソウルだと思えば、その後の自分の音楽遍歴とも矛盾なくつながる。またこれまでウディ・アレンの影響だと公言してきた黒縁メガネ好きのルーツさえ、実は大江千里にあったのかもしれない。その後リリースされたアルバムも2枚は追いかけた。文化ホールに来た時も、2回観にいった。
小6〜中1くらいの自分は、バンドブームに傾倒することなくEPICとヒップホップを矛盾なく聞いていた。ヒップホップとの出会いはさらに遡り、小4の時になるのだが、それはまた別の話。

ということでようやく本題。日本ではフリーソウルの名盤として高値で取引されるTerry Callierのアルバム「Occasional Rain」も、わたしにとっては大江千里の文脈の中にある。ノーザン・ソウルにおける評価だとか、Nujabesによって再構築されたなんて冠をつけなくても必聴の名曲A-2「Ordinary Joe」を筆頭に、美しいフォーキーメローソウルが詰まった最高の1枚。このアルバムに関しては、わたしの拙い解説よりも、こちらのブログに詳しい。



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